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各市町村歯科保健事業実施状況アンケート集計結果

 
 
 

  総 括
 2017年6月、「経済財政運営と改革の基本方針2017〜人材への投資を通じた生産性向上〜」が閣議決定されました。いわゆる「骨太の方針」といわれ、これからの日本の経済・財政の方向性を示すものでありますが、当然ながら社会保障も含まれています。その健康増進・予防の推進等の項目に、歯科医療にとってこれまでにない画期的な一文が盛り込まれました。
 「口腔の健康は全身の健康にもつなか?ることから、生涯を通し?た歯科健診の充実、入院患者や要介護者に対する口腔機能管理の推進なと?歯科保健医療の充実に取り組む。
 これは、国が口腔と全身との相関関係を認識し、すべての国民のライフステージにおいて歯科健診・口腔ケアの充実を推進するものであり、今後、宮城県における歯科保健活動の拡大・充実に大きな影響を与える政策でもあります。
 本アンケート調査(2006〜2017年)は、宮城県内35市町村における歯科保健事業の進捗状況を把握し、検証を目的としています。項目毎に、各市町村の保健施策が記載されていますので、歯科保健活動推進の参考にしていただければ幸いです。
 妊産婦期においては、妊産婦期特有の口腔内変化、それにまつわるトラブル、その対策、栄養指導等について、昨年度同様、多くの自治体が母子健康手帳交付時に、リーフレット・パンフレット等を活用し、保護者へ必要な情報を提供しています。
 宮城県も、平成30年3月に東北大学大学院歯学研究科監修のもと、宮城県歯科医師会・宮城県歯科衛生士会共著によるパンフレット「妊娠期からはじまるお口の健康〜子どもの健康は妊娠中から〜」を作成しましたが、地域性の影響が少ないこの時期の指導は、以降のライフステージにおいても非常に重要であり、各自治体にゆだねられている内容についても、地域間格差解消のため、将来的には統一されたガイドラインの作成が必要となるでしょう。
 宮城県の乳幼児時期における平成27年度一人平均むし歯本数は、3歳児で0.82本(全国平均0.52本)です。依然として全国平均に届きません。
 本ステージは、特に生活環境因子に大きく左右される時期でもあります。アンケート調査から、3歳児歯科健康診査から未就学時歯科健診までの期間、各自治体と保護者との関りが疎いようです。切れ目ない歯科健康診査、保健指導の実施が望まれます。
 学童期において、宮城県の平成28年度12歳児一人平均むし歯数は、1.2本(全国平均0.83本・順位42位)、12歳児のむし歯有病率42.6%(全国平均35.5%・順位38位)であり、一定の成果を上げつつも、長期にわたり低迷し続けています。今後、各自治体と教育機関と家庭、歯科医師会とが問題点を共有し、口腔内の健康について更なる啓発運動の強化が必要です。
 すべての自治体が、フッ化物の有効性について認識していることから、学童期に限らず、安価であり安全なフッ化物の使用を推奨していただくことも重要です。
 成人期・高齢期においては、9割に届く自治体が、節目検診等の歯周疾患検診を実施していますが、検診受診率は0.9〜20.6%にとどまり、決して高い受診率ではありません。定期的な歯科検診は、歯周病の重症化抑制、高齢期にかけての歯牙喪失の防止につながり、全身的な健康にも関与することを継続的に周知する必要があります。
 また、職域に対して積極的な歯科保健活動を行うことも、定期的な歯科検診の必要性を働きかけることになり、受診率の向上につながると考えられます。
 障がい児・者歯科保健については、専門的な知識をもつ人材と医療設備の確保が困難なため、各自治体の取り組み方に、地域間格差が出現しやすい分野となります。専門的歯科医療体制が未整備の場合は、口腔内状況が悪化を招かぬようにフッ化物を活用しながら、定期的にかかりつけ歯科医にて管理することが望ましく、同時に移動困難な障がい児・者が、必要な時に必要な処置が受けることができる早急な環境整備が必要です。県・市町村・関係諸機関・歯科医師会が連携し、支援の必要な方々の実態に則した体制整備を期待します。
 宮城県内における歯科保健施策は、着実に成果を上げていますが、全国的には大きく水をあけられているのが現状です。
 例えば、国の医療政策の中でも大きな成果を収めている8020運動は、平成28年度歯科疾患実態調査によると8020達成者の割合が、平成23年度の40.2%から51.2%に増加しました。一方、宮城県は22年度31.8%(参考値)、平成28年度が39.8%であり、わずか8%増にとどまっています。
 第2期宮城県歯と口腔の健康づくり基本計画では、平成35年までの目標値として、8020達成者の割合を50%以上としていますが、医療費抑制の観点からも目標値設定においては、追従ではなく想定される数値を上回る目標値の設定が必要です。
 また、目標値底上げの障害となる地域間格差においては、モデル地区を設定し、保健・医療・福祉分野に人・予算を重点的に投入することで解消を計ることも一つの手法です。

 ご多忙にもかかわらず、本アンケート調査にご協力していただいた各市町村の担当部署職員の皆様には、心より感謝申し上げます。この貴重なデータは、これからの歯科保健活動推進に有効に活用させていただきます。

一般社団法人宮城県歯科医師会地域保健部会